すいすい小噺#96

 



右手の真実


相変わらずの遅刻となった第100回すいすい
月一回のサントレでもあったため
みんな待ちに待っててくれて
開店と同時にバーゲンセールのような凄い状況になる

このパターンの時
オジサンはほぼ「お勘定に専念」となる

顔を上げるのは買ってくれた子の顔を見る時と
ジャンケンする時くらいで
永遠と長蛇の列で
みんな何か楽しそうに話しながらワイワイ立っている

ある子がなっちゃん(オジサンの長女)が描いてくれた
100回記念のイラストに気がついてくれて
おめでとー と 祝いの言葉をくれた

いつも来る男の子がきた
以前 すいすいへの強烈な愛情を現してくれた男の子(笑)

一直線で面白い子だから何かして来てくれるのか
といつも期待していると

親指と人差し指で100円を突き出してきた

「え、100えんね 
 で、これで何買ったの??」

笑いながら答えると

「えっとねー・・・」

男の子はそう言いながらポケットに手を突っ込む

「サッカースクラッチ2つと
 ブラックサンダーと
 ガムとグミかな・・・」

「そー ・・・ じゃあ70えんネ!」

しかし男の子は手を突っ込んだポケットを
チラッとのぞくもお菓子は出さない

「70えんぶんある? あるか確かめさせて!」

オジサンは笑顔で詰め寄る
男の子は 必ずあるから!! と言い張る
手をポケットに突っ込んだまま


後ろの方から

「早くしろよ〜!!」

と声がかかる


「えーーー!? 一応 だがし確認させてよぉ〜」

オジサンは笑顔でさらに迫ると

「オジサン!! 信じろよ〜!本当にあるよ!!」

「 ・・・・・・・・ 」



次の女の子が

やあーーっと順番来たよ〜 という感じで眉毛を上げている

また嵐のようなお勘定が続く



どの子も夕闇が迫る中

駄菓子で遊ぶのに必死だ(笑)




オジサンは信じた

そのまま30えんを男の子に渡して

ポケットに突っ込んだままの手を確認しなかった



果たして本当に70円分だったのか・・・・!?



甘さと曖昧さが出てしまった

熱い男の子だから

曲がったことはしないであろう と先入観で決めた



果たして本当に70円分だったのだろうか・・・!?

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