すいすい小噺#87



エール


天気予報通り
とても熱くなった一日
でも風も結構強くて心地良かった

始まってすぐに
いつも来てくれる女の子たちがやってきて
ジャンケンをして自分の運を確かめている
負けた子はオジサンと
もう一回!いや、ひとり1日一回!の押し問答を永遠と

今日は さり気なく全員に
ようやく徐々に本来の姿になってきた学校のコトを聞く
どうやら給食は「ナン」が出たらしい

何も語らない子
堰(せき)を切ったように話し続ける子
知らん顔する子
いろいろいてそれだけで楽しい

他愛もない話がとても大切なこと
当たり付きにチャレンジする気持ち
オジサンに見せるドヤ顔
みんな 楽しんでくれているのがわかる

陽が長いので6時までやることにしたけど
5時半くらいから
ひとり またひとり と帰っていき
最後に女の子が残った

思いっきり見える状態で名札をつけて
自分の名前を言いながら話す小1の女の子

多分 今日が初めてだったんだろう
後半から来て ずっと楽しんでくれている

あまりオジサンから声はかけない
静かにその子の話を聞く


5時50分


まだ陽は高いが
時間も時間になってきたので聞いてみた

「そろそろ 閉店の6時になるけど・・・」

女の子は小さくうなずく
口数の少ない子
すいすいの座席にまたがってみたり
駄菓子を手にとってみたりしていた

少し上のお姉ちゃんと来てたが
お姉ちゃんはいつしか帰ってしまったようだ


5時55分


まだ青い空
今日は暑かった

「もうすぐ6時になるけど おうちに帰らなくて大丈夫?」

女の子はまたうなずき
少したって小さく言った



「・・・だって ママは6時までシゴトだもん・・・」

「・・・そっかー、6時まではシゴトなんだね・・・」



共働きのご家庭が多い


これもすいすいをしていて実感すること
こどもたちの言葉に耳を澄ますと
それぞれの生活が垣間見える時がある


5時57分


「・・・オジサン いまなんじ?」
「・・・5時57分になったよ!」
「・・・じゃー そろそろ帰るね!」
「うん 今日は来てくれてありがとー!
 また遊びに来てね!」


急にせわしくなったその子は
ボソボソヒトリゴトを言いながら 
でもそのヒトリゴトによると
どうやら6時までには
家に帰らなくてはいけなかったらしく(笑)

突然 走り出したその子に

「気をつけて帰ってね〜!」

エールを送った


いつだってオジサンは
みんなのことを応援してる

また次のすいすいで会おうね


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