すいすい小噺#40


じゃんけんパラドックス

何でも手伝いたい!
と、率先して手伝ってくれる低学年の男の子
それ自体は素晴らしいことでも
毎回最後に
「バイト代は?」
「オレこんなに働いたんだよ〜」
とか何とか
駄菓子を手に入れようとしているパターンw
今回もできる限りの手伝いをしてもらった 
が、最後に駄菓子をあげたりはしない〜
例えば 
 
「勝ち続けることって
 一見、良いことのように思えるけど
 そのように思わないような時もある」

ってことを
今日 この子は知ることになる

お金を持ってこなかった子
少ししか持ってこなかった子
初めて偶然すいすいを知った子
欲しかったモノが予算オーバーで買えなかった子 など
そんなおともだちでも
積極的に参加でき
楽しんでもらうためのラストイベント

「じゃんけん大会」

じゃんけんに勝てば
お店の好きなものを1つプレゼントという
採算度外視のサービスを毎回 続けているけど
さっきの男の子が

「オレ、【じゃんけん役】やってあげる!!」

と持ち前の積極性を出してきた

『・・・ホントに?! 最後までやってくれる〜??』
「うん!やるよ!」

薄暗くなってきた周辺に
じゃんけんの掛け声が響く

「最初はグー! じゃんけんポン!!! いえ〜い!!」

じゃんけん役の男の子は
勝つたびに「オレ強ぇ!」を連呼して
振り返ってドヤ顔でこちらを見る
ズラーッと並ぶ
長蛇のじゃんけん大会のおともだちの列
じゃんけんの掛け声が続く

勝ったり
負けたり

勝った子は意気揚々と駄菓子を選んで喜んで帰る
負けた子は本当に残念そうに悔しがってすいすいを見つめる

ふと気がつくと
じゃんけん役の男の子の声が聞こえなくなっていた

『ホラ、どうしたの?? 掛け声聞こえないじゃん!』
「あ、う、うん、・・・最初はグー・・・」

そう 言ったものの
結局声無しでじゃんけんし
じゃんけん役の男の子が勝つ
でももう 男の子は振り返ることをしない

「・・・オジサン・・・オレ、じゃんけんやめるわ・・・」
『んんー?? 最後までやるって言ったよねー(笑)』
「・・・うん、、、言ったけど・・・」
『そだろ、なら、最後まで頑張れ!ホラッ!』

最初はグー、じゃんけんぽん!
男の子が負ける
勝った子は喜んで駄菓子を選んでいる
最初はグー、じゃんけんぽん!
男の子が勝つ
負けた子は本当に悔しそうにそこを去る

「勝ち続けることって
 一見、良いことのように思えるけど
 そのように思わないような時もある」

オジサンはじゃんけん大会する時
実はいつも「願いを込めて」じゃんけん大会している
『頼む!頼むから、みんな、勝ってくれ!』
という願い

でも オジサンはグーを出すから!とかは言わない
じゃんけんは真剣勝負だから
手伝ってくれた男の子は
全てのじゃんけんを終えて
何か重たいものを背負ったような雰囲気になっていた

『ねぇ、自分はじゃんけんしたの??』
「・・・してない・・・」
『(笑)なら、オジサンとじゃんけんしようよ!』
「・・・うん・・・」

最初はグー、じゃんけんぽん!
オジサンが勝った
何となく男の子はわかってくれたかもしれない


じゃんけんパラドックス


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