すいすい小噺#3


お友達4人で来てくれた
低学年の女の子たち
みんなでワイワイ駄菓子を覗き込む

一生懸命に選んで
それぞれが50円とか30円とか買ってくれた中で
1人の子は手に取っては箱に返し、の繰り返しだった
どうしたんだろう・・・
お財布と思われるポシェットは肩から下げているのに
ほかの3人はお菓子を買って、少し離れていく

「・・・買わないの・・・?」
「・・・うん、買わないの・・・」
「・・・そっかー・・・」
何かあるんだろうな、と考える
少し嫌らしいけど
良く見るとポシェットには何か入っている
すると、その子は独り言のようにポソッと言った

「・・・1円なら、いっぱいあるんだけどね・・・」

ボクは、そうだったか! と何だか笑顔になってしまった

「・・・えっとね、1円が10枚あれば10円になるよ
 そしたら10円のお菓子は1個買えるよ(^^) 」

その子の顔が少し明るくなる

「いっぱいあるなら、この箱に出して一緒に数えてみようか」
「うん」

パチッ、パチッ、と、27枚の1円玉が並んだ。

「10円のお菓子が2つか、20円のお菓子が1つ買えるね」
「うん」

でもその子が、
それとなく何度も手にしていたお菓子は30円のお菓子

「あと1円玉3枚で30円になるね・・・」
「うん」
「何か買う?」

その子は迷いに迷って、
大人気の10円の当たり付きグミを2つ買った
箱に並んだうちの1円玉20枚のお代を頂く

「どうも、ありがとう!」

女の子は嬉しそうにグミ2つを持って
お友達の方へ歩いていった
その後ろ姿を見て、
もしかしたらこの子は
初めて自分で考えてお金を使ったんじゃないかなって思った
だとしたら、
とってもステキな場面を見ることができたのかもしれない
また、すいすいで待ってるね
1円玉でも大丈夫だからね


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